アレクサユーザーのなかには、高度な応答が可能なChatGPTを普段使いしている人もいるでしょう。しかし、アレクサでChatGPTを利用できるのか、どうやって利用できるかがわからない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、アレクサでChatGPTを使う方法を解説します。無料で利用する方法やChatGPTのスキルを自作する方法も解説しているので、アレクサでChatGPTを活用したい人はぜひ参考にしてみてください。
Amazon Echo端末でもChatGPTを利用できる

Amazon Echo端末で搭載されているAIはアレクサですが、Echo 端末でもAlexaスキルを導入すればChatGPTも利用が可能です。例えば、ChatGPTに対応したAlexaスキルのひとつである「helloGPT」を使うと、以下のようなやりとりができます。

アレクサ、hello G.P.Tを開いて

hello G.P.Tです。何をしましょう?

自然を楽しめるおすすめの旅行先を教えて

屋久島は、屋久杉の大自然の豊かな緑、そして、清流の音に癒やされる場所です。ハイキングやトレッキングを楽しめますし、特に自然の神秘的な雰囲気が好きな方にぴぴったりです。
また、北海道も絶大な自然の魅力ががあります。夏ならラベンダー畑や広大な大地、冬ならウィンタースポーツが楽しめます。特に、知床半島は・・・(中略)
さらに沖縄もまた魅力的な選択肢です。青い海と豊かなサンゴ礁のほか、島々特有のゆったりとした自然が心を癒やしてくれます。離島に足を運べば自然や美しい星空を満喫することもできますよ。
続きが聞きたい場合は「続きを」と言ってください。
こんな感じで気軽に質問ができ、回答内容もコンパクトにまとまっています。ちょっとしたことを質問したいときなどに向いているでしょう。
Echo端末でChatGPTを導入する方法は2種類。手順も解説
Echo端末でChatGPTを導入する方法は、既存のChatGPT対応Alexaスキルを使う方法と、Alexaスキルを自作する方法の2種類です。ここからは、各方法の特徴と導入手順を解説します。
ChatGPT対応Alexaスキルを使う|導入が簡単で気軽に試せる

Echo端末に手間をかけずにChatGPTを導入したい人は、「helloGPT」や「AIナビ」といったChatGPT対応のAlexaスキルの利用がおすすめです。
利用する際は以下のように話しかけましょう。ほかの一般的なAlexaスキルと同様に「〇〇(スキル名)を開いて」と言うだけで開始できます。
- 「アレクサ、helloGPT(ハローg.p.t)を開いて」
- 「アレクサ、AIナビ(エーアイナビ)を開いて」
「helloGPT」はChatGPTを利用できるシンプルなスキルです。無料でも利用できますが質問回数が1日10回程度に制限されています。一方、プレミアムプランは月額544円かかりますが、無制限で利用が可能です。
「AIナビ」もChatGPTを利用でき、返答の長さを「短い」「普通」「長い」「とても長い」の4段階で調節できる点が特徴です。AIナビではコストと呼ばれる量で利用回数が制限され、無料プランだと5コスト分まで利用でき、普通の長さの返答の5回に相当します。3種類の有料プランがあり、1日20コストプランだと月額79円、1日50コストプランだと月額159円、1日500コストプランだと月額399円です。
Alexaスキルを自作する|プログラミングなしで作成可能。ChatGPTのモデルも選べる

ChatGPT対応のAlexaスキルを自作する方法もあります。自作するメリットは利用するChatGPTのモデルを自分で選べる点です。
ChatGPTのAPIは基本的に従量課金制であるため、自作のスキルだと使った分に応じて料金がかかります。初回利用だと最初の3ヶ月間5ドル分を無料で利用が可能ですが、利用枠がなくなると利用できません。
既存のスキルを使うのに比べると導入の難易度は上がりますが、ゼロから開発する必要はありません。Alexaスキルのコードを公開してくれている人がいるおかげで、プログラミングをすることなく20〜30分程度で作成が可能です。
ここでは、GitHubで公開されているコードのうち、k4l1sh/alexa-gptを参考にして手順を解説します。なお、Alexa Developer Consoleの画面は2025年5月時点のものです。
- Step.1【事前準備】アカウントを取得する
Amazon DeveloperアカウントとOpen AIアカウントを取得しましょう。
Amazon Developer アカウントは、開発するAlexaスキルを登録するのに必要です。公式ページにアクセスして、アレクサを利用しているAmazonアカウントで作成しましょう。
Open AIアカウントは、ChatGPTを利用したり、ChatGPTのAPIを利用するのに必要です。OpenAIアカウントはChatGPTの公式ページで新規作成しましょう。GoogleやMicrosoft、Appleのアカウントがあればスピーディに作成できます。
- Step.2Alexaの新規スキルを登録する
まずAlexa Developer consoleにアクセスしログインして、新規スキルを登録しましょう。「スキルの作成」をクリックします。
次に、スキルの名前を入力し、プライマリーロケールを設定します。ここでは、スキル名は「ChatGPT for Alexa」、プライマリーロケールは「日本語」を選択しましょう。入力したら「次へ」をクリックします。
次に、エクスペリエンス・モデル・ホスティングサービスを選びましょう。ここでは、以下のように選びます。
Screenshot - エクスペリエンス:「 その他」
- モデル:「カスタム」
- ホスティングサービス:Alexa-hosted(Python)
- ホスト地域:米国東部(バージニア北部)
選択が完了したら、「次へ」をクリックします。
次にテンプレートで「スキルをインポート」をクリックしましょう。
表示されたボックスには、https://github.com/k4l1sh/alexa-gpt.gitを入力して、「インポート」をクリックします。
数分待って、以下のような画面が表示されたら新規スキルの登録は完了です。
- Step.3スキル起動の名前を設定する
ビルドタブをクリックして、左側または右側のInvocation Nameをクリックします。
Skill Invocation Nameは自由に設定してかまいませんが、ここでは「チャット」を入力します。
そして、「Build skill」をクリックします。
- Step.4コードで利用するパッケージ一覧に「openai」を追加
次に、alexa develper consoleのコードエディタタブをクリックして、「requirement.txt」のファイルを開きます。最後の行にopenaiと入力しましょう(以下参照)。
- Step.5ChatGPTのAPIキーを取得する
ここで、alexa developer consoleはそのままにして、ChatGPTのAPIキーを取得しましょう。なお、すでに取得済みの人はこの作業は不要です。
Open AIのAPIキーのページをクリックして、ログインします。そして、「+Create new secret key」をクリックします。Nameは空(My Test Keyのまま)にし、「Create secret key」をクリックし、表示されたAPIキーをテキストファイルなどに保存しておきましょう。
- Step.6ChatGPTのAPIキーを設定
alexa developer consoleの画面に戻り、コードエディタタブをクリックして、lambda_function.pyをクリックして、以下のように’YOUR_API_KEY’の部分に取得したAPIキーを入力しましょう。
なお、本コードではモデルに’gpt-4o-mini’としていますが、ほかのものでもかまいません。モデルにより料金が異なるので、利用回数やパフォーマンス、料金を考慮して決めましょう。
入力したら画面の右上にある「デプロイ」をクリックします。1分弱待つと右下に「デプロイが完了しました」と表示されます。
- Step.7動作をテストする
作成したスキルが動作するかテストしましょう。「テストタブ」を開き、「非公開」を「開発中」にします。次に、「チャット(スキル起動名)を開いて」と入力し、Enterを押します。例えば、以下のように入力します。
ちゃんと応答が返ってきたらOKです。これでテストは完了です。
- Step.8Echo端末を再起動して試す
端末を再起動してから、Echo端末で作成したスキルを試してみましょう。
なお、スキルを作成した直後だと、端末で新しいスキルが反映されてないこともあります。その場合は再起動をしてから試してみてください。
また、このスキルではChatGPTのモデルとして”gpt-4o-mini”を利用しています。コードエディタで該当箇所を修正すればほかのモデルでも試すことが可能です。
アレクサでChatGPTを使う際のよくある質問
ここでは、アレクサでChatGPTを使う際のよくある質問を解説します。
Echo端末でChatGPTを無料で利用する方法はある?
あります。
「HelloGPT」や「AIナビ」のスキルは利用回数などに制限があるものの、無料で利用できます。
ChatGPTのモデルは選べる?
「HelloGPT」や「AIナビ」のスキルでは選べませんが、自作してコードを修正してモデルを指定すれば選べます。
自作したスキルがうまく動かない理由は?
スキルを呼び出したあと質問したのにうまく動作しない場合は、ChatGPTのAPIの利用制限がかかっている可能性があります。ChatGPTの利用枠が切れていないか、OpenAI PlatformのUsageのページをチェックするとよいでしょう。
アレクサには便利なスキルが豊富。うまく使いこなそう
アレクサにはChatGPT関連以外にも便利なスキルが豊富です。例えば、電車の運行情報を確認できるスキルやゴミ出しの日を教えてくれるスキルもあります。
以下の記事では、私が実際に使って役に立つと感じたAlexaスキルを厳選して紹介しています。アレクサをもっと使いこなしたい人はチェックしてみてください。