自分では効率よく仕事や家事をしているつもりなのに、時間が足りないと感じている人も多いでしょう。
そこで、本記事では時間に余裕がない原因と余裕を作る方法を解説します。すぐに実践できる方法も紹介するので、時間の余裕を作り出したい人はぜひ参考にしてみてください。
時間の余裕を作って、毎日15分ゆっくりコーヒーを楽しんだり、週1回やりたい趣味に没頭したりしましょう。
時間に余裕がない人の特徴は?典型的な3タイプを解説

時間に余裕がない人の典型的な3タイプを列挙すると以下のとおりです。
- 仕事・家事・育児の両立で、スキルアップの時間や自由な時間がないパパ・ママ
- 昇格したものの部下の指導と自分の仕事で、毎日遅くまで残業している会社員
- クライアントからの依頼を断れず、いつも仕事に追われているフリーランス
共通する特徴は以下の3点です。
- タスクの取捨選択ができておらず、やるべきことが多いままにしている
- スケジュールが詰まっていて、投入する時間を増やして対処している
- 自分で何でもやろうとしている
時間に余裕がないと感じる原因は?
時間に余裕がないと感じる原因は、スケジュールの作成や業務時間の見積もりなどで問題があるためです。ここからは、時間に余裕がないと感じる原因を解説します。
スケジュールにゆとりがない

時間に余裕がない原因のひとつは、スケジュールにゆとりがなく予定がぎっしり詰まっていることです。実は仕事が早く終わって空き時間ができたらゆっくりしようと思っていても、空き時間ができることはほとんどありません。予定より時間がかかったり、予定外のことが生じたりするからです。
ぎりぎりのスケジュールで進めているときに予定外の仕事が入るとますます余裕がなくなります。例えば、上司から急ぎの仕事を依頼されたり、部下の仕事に問題が生じてその対処に追われたりすることがあるでしょう。
家事・育児でも、子どもが服に水をこぼして着替えが必要になったり、風邪をひいて看病が必要になったりすることもあります。
スケジュールにゆとりがなければ、自分の自由時間は確保が難しいでしょう。
業務の作業時間を少なく見積もっている

業務の作業時間を少なく見積もってしまうことも時間に余裕がなくなる原因のひとつです。例えば、報告書を1時間で仕上げるつもりが2時間かかった、10分でメールの処理をするつもりが気づいたら30分かかっていたなどは、多くの人が経験しているでしょう。
業務の作業時間が想定より多くかかると、ほかの作業にしわ寄せが行ったり、残業が増えたりすることになり、時間の余裕が減ってしまいます。
時間を作る工夫をしていない

時間を作り出す工夫をしていないことも時間に余裕ができない原因です。多くの人は仕事や家事で、いままで同じやり方をしがちです。
例えば、
- データの集計作業はExcelマクロなどを覚えてツールを作れば1秒で終わるのに、手作業する
- 食洗機を導入すれば食器洗いの時間を減らせるにも関わらず、食器を手洗いする
- 顧客向けプレゼン資料作成の一部は部下でもできるのに、自分でやってしまう
今までと同じやり方は心理的には安心できるのですが、そのままでは自由な時間はやってきません。また、忙しいと目の前の仕事をこなすのに手一杯で、時間を作る工夫に取り組めない傾向があります。
マルチタスクで脳に負荷がかかっている

マルチタスクをしていると脳に負荷がかかるため、パフォーマンスが低下することが知られています。パフォーマンスが低下すればタスクを終わらせるのに時間がかかるでしょう。また、物理的に自由な時間がある場合でも、時間に追われている感覚が生じることも指摘されています。
脳は本質的にマルチタスクができないことが知られています。マルチタスクで脳に負荷がかかるのは、頻繁にタスクを切り替えて処理する必要が生じるためです。
例えば、仕事で会議を聞きながらメールやチャットの対応をしたり、歩いて移動中にスマホを触ったり、家でテレビを見ながらSNSを見たりすることもマルチタスクです。
重要な仕事に取り組む際は、パソコンで集中モードにしたり、スマホの通知をOFFにしたりするとよいでしょう。
時間の余裕を作る方法9選
時間の余裕を作るには、スケジュールの作り方、タスクの取捨選択、タスクの取り組み方などの習慣を見直すのが有効です。ここからは、時間の余裕を作る方法を解説します。
1.スケジュール・計画は「余白」をさきに確保する

長期的であっても短期的であっても、スケジュールは余白を先に確保して作成しましょう。スケジュールの余裕・余白は先に設定することで、時間の余裕を確保しやすくなるためです。
例えば、以下のように設定します。
- 年始などの際に1年間で長期休暇の予定(旅行など)を設定しておく
- 1か月で半日・1日休みの予定(スキルアップの講座受講など)を確保する
- 1日で空白の時間帯(休憩・軽い運動など)をスケジュールに入れておく
余裕・余白の時間を先に決めたうえで、残りの時間で進められるようにタスクを取捨選択したり、進め方を見直したりするとよいでしょう。
2. 重要度・緊急度をつけてタスクを取捨選択する

仕事でも家事でも育児でも、タスクは重要度・緊急度に基づいて取捨選択しましょう。適切に取捨選択ができれば、限られた時間でも成果を出せるからです。優先すべき順序は以下のとおりです。
- 重要で緊急のタスク
- (例)重要顧客との打ち合わせ、クレーム対応
- (例)子どもを病院に連れて行く
- 重要だが急がなくてよいタスク
- (例)部下の指導、スキルアップ
- (例)本を読む、時短家電の導入
- 重要でないが急ぎのタスク
- (例)メール対応、情報共有だけの会議、報告書作成
- (例)スマホの通知をチェック
- 重要でなく急ぎでもないタスク
- (例)同僚との雑談
- (例)テレビをだらだら見る、ネットサーフィンする
多くの人は「重要でないが急ぎのタスク」を「重要だが急がなくてよいタスク」よりも優先しがちですが、本来優先すべきは「重要だが急がなくてよいタスク」です。
なお、ここで記載した例は一般的なケースで重要度や緊急度を分類したものです。業務や人によっては特定のメール対応や雑談が成果につながるなど重要な場合もあるので注意しましょう。
3. タスクにかかる時間を計測する

各タスクにかかる時間を計測して、精度よく時間の見積もりができるようにしましょう。業務の作業時間がある程度正確に見積もれると、立てたスケジュール内で完了でき、余裕を確保できるからです。
なお、タスクにかかる時間は人間の感覚に頼るのではなく、必ずストップウォッチやスマホのアプリなどを使って計測してください。人間の時間感覚は不正確な場合が多いため、まったく当てにはならない点に注意しましょう。
4. タスクに割く時間を決め、時間内で80点を目指す

スケジュール通りに完了できるようにタスクに割く時間を決めて、その時間内で80点の完成度を目指すようにやり方を工夫しましょう。完璧を目指しすぎないのがポイントです。
従来は1時間かかっていた報告書の作成を20分以内でやる場合には、単に集中する、タイピングを速くするなどでは完了が困難でしょう。例えば、報告書で伝えたいポイント(結論とその根拠など)をまず執筆し、それ以外の部分を多少の誤字脱字は無視して残り時間で書くようにします。
社内で使う報告書であれば、そもそも時間をかけて100点を目指す必要はほとんどの場合ありません。多少の誤字脱字はあっても伝えたいポイントが正しく伝わる80点を目指し、空いた時間をより成果につながる活動に向けたほうがよいでしょう。
5. 十分な睡眠をとり、規則正しい生活をする

時間の余裕を作りたいなら、十分な睡眠をとり規則正しい生活をしましょう。時間の余裕がない人は睡眠時間を削って時間を確保しようとしがちですが、実は逆効果です。睡眠時間が不足していると、業務のスピードが遅くなり、タスクをする時間が長くなる傾向があります。
私個人の経験談ですが、私もかつては5.5〜6時間睡眠をしていましたが、現在は7.5〜8時間の睡眠を確保しています。十分な睡眠をとることで、重要度が高く複雑な仕事をこなすスピードは2〜3倍程度上がりました。従来だと7時間かかる仕事が3時間程度で終わるので、睡眠時間を増やした分の元は十分にとれます。
6.マルチタスクをやめる。シングルタスクで集中する

仕事でもプライベートでもマルチタスクをするのはやめ、シングルタスクで集中しましょう。マルチタスクをしていると集中力が低下し、かえって生産性が落ちるからです。また、時間汚染が起き、時間に余裕がなくなると感じる可能性もあります。
例えば、テレビ会議に参加しながら、メール対応やほかの資料を作成するなどのマルチタスクはやめましょう。参加しても発言しない会議であれば、そもそもその会議に参加する必要はありません。思い切ってやめ、浮いた時間でひとつひとつの業務を集中して行いましょう。
7. 業務スピードを向上させるためにスキルを磨く

長期的に業務のスピード向上につながるスキルアップには、学習時間をさいて取り組みましょう。スキルアップには学習時間がかかりますが、長期的にはタスクにかかる時間が短くなり、時間の余裕を作ることが可能です。
例えば、音声入力を活用したり、ChatGPTを活用したりするスキルを身につければ、文章を書く作業をスピーディーにこなせます。また、ルーティンの作業であれば、Power Automateを活用するスキルを身につければ作業の自動化が可能です。
学習に時間がかかっても毎日の作業が短縮されるので、時間の余裕につながります。タスクの作業時間を大幅に短縮できます。
8. 無駄な時間をなるべく省く

もし短期的・長期的に成果につながらない無駄なことに時間を使っているのであれば、それらをなるべく省きましょう。浮いた時間で時間の余裕が作れるからです。
例えば、何気なく以下のことをしてませんか。
- 通勤中に暇つぶしでスマホゲームをしている
- 目的なくテレビを観ている
- 目的なくスマホを触っている
- 目的なく飲み会に参加する
それらを辞めることができれば、かなりの時間を捻出できるはずです。
9. 人に作業を依頼する

自分の作業効率を上げたり、無駄な時間を削ってたりしても余裕が作れないなら、ほかの人への作業依頼も検討してください。自分がしている業務で苦手なタスクがあるなら、社内の得意な人に依頼したり、外注したりするほうが自分のリソースで最大限の成果に貢献できます。
なお、仕事で作業をほかの人に依頼する場合、上司の了解が必要な場合も多いでしょう。上司に説明する際は、作業の依頼で成果につながる点をアピールしてください。同僚に依頼する場合は一方的に仕事をお願いすると同僚に不満がたまりやすいので、同僚が苦手で自分が得意な部分は引き受けるなどしてWin-Winの関係を構築するとよいでしょう。
時間を買う方法なら今すぐできる
紹介した時間の余裕を作る方法を導入するには、自分の習慣を変える必要があります。しかし、一般的に、習慣を変えるには数週間などの期間がかかるため、すぐに導入するのは難しいでしょう。人によっては、今すぐにでも余裕を作りたい人もいるのではないでしょうか。
すぐに時間の余裕を作りたいのであれば、お金で時間を買う方法がおすすめです。以下の記事では、お金を出して移動時間を短縮したり家事・育児時間を減らしたりする方法を解説しています。必要な費用や捻出できる時間の目安も説明しているので、時間の余裕を作る際の参考にしてみてください。
時間の余裕をつくりたい人におすすめの本も紹介
時間の余裕がない原因、余裕を作る方法は本記事で解説しましたが、もっと詳しく知りたい人もいるのではないでしょうか。以下の記事では、生産性を向上する思考法を学べるおすすめ本を紹介しています。生産性を上げる考え方を学べるので、時間の余裕を作るの際に参考にしてみてください。